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分譲マンションの管理規約と民泊

民泊が話題になり始めた当初から、分譲マンションの管理規約と民泊の関係性というのは注目されていた点で、平成27年末には、国土交通省が、標準管理規約を採用している分譲マンションで特区民泊を行う場合、規約の改正が必要との見解を示しました。

当サイトでも「分譲マンションと特区民泊」という記事で取り上げたことがありましたが、もう少し詳しく取り上げてみようと思います。

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そこで今回は、行政書士法人シグマ代表の阪本が、弁護士法人Martial Artsパートナーの市原麻衣弁護士(写真左)に、分譲マンションの管理規約と無断民泊運営の問題について聞いてみました。

弁護士法人Martial Artsは、依頼者のために”闘う弁護士集団”をコンセプトにした弁護士法人で、幅広い法律事件を取り扱っている弁護士事務所です。


シグマ阪本(以下「阪本」): 今日はよろしくお願いします。

市原弁護士(以下「市原」): よろしくお願いします。

阪本: まず現状についてお聞きしたいのですが、先生のところに民泊に関する管理規約についての相談というのはありますか?

市原: 私が直接担当している範囲では、管理規約のみの相談は無いんですが、民泊やAirbnbに興味をお持ちで、今から不動産を手に入れて始めようかという段階のお話というのはいくつかありますね。

阪本: 民泊をやりたい側からの相談が多いと。

市原: そうですね。

阪本: 我々も同じように民泊をやりたいという方からのご相談を受けることが多いのですが、最近では賃貸借契約の内容に民泊としての使用を禁止するという条項が入ってきているんですね。

このように実態としても民泊が浸透してきている中で、区分所有の分譲マンションで民泊をやりたい、逆に民泊を禁止したいっていう話が出てきているので、今日はその辺りを突っ込んで聞いていきたいと思っています。

まず基本的なことからお聞きしたいんですが、そもそも管理規約は区分所有の分譲マンションで問題になるという認識で良いでしょうか。

市原: その認識で問題無いと思います。

阪本: 区分所有者から借りている人も管理規約は守らなければいけないんですよね?

市原: 借りている人にも効力が及ぶと考えられています。

阪本: 一方で、賃貸専用のマンションでは、使用にあたってのルールは原則として管理規約ではなく、オーナーと借り主の直接の契約で規定されるということですね。

市原: その通りです。

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阪本: ここからは管理規約、中でも多くの管理規約のベースになっている標準管理規約についてお聞きしたいと思います。

標準管理規約の中には、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」という条項があるんですが、この条項で民泊を禁止できるんでしょうか。

市原: この条項で民泊を禁止できるかどうかは、民泊としての利用が、住居としての利用の範囲内かどうかという解釈の問題になってきます。単純に文言で見れば、民泊として人に貸すというのは、区分所有者が住宅として使用しているとは言えないように思います。

他方で、所有者が居住するのと比較して、民泊としての利用は、実態として専有部分の利用形態が大きく変わるわけではないですよね。民泊で利用する側の方も、部屋に寝泊まりしたり、飲食するといったような、コアな使い方は変わらない。では、だからといって「住宅としての利用の範囲内だ、民泊に使って良いんだ」と言えるかというと、そうはならないと思います。

民泊という形態自体が新しく、まだ裁判例などがありませんので、これからの状況次第ということにはなってしまいますが、これまで裁判になっているもので参考になりそうなものですと、例えば無認可の保育所として使ってもいいかどうかが問題となったケースがありました。

お子さんが複数集まって過ごすというのは、お子さんがいらっしゃる家庭での使い方とそんなに大きく変わるわけではないですよね。

それでもやっぱり他の区分所有者の共同の利益に反するからダメだという判断がされたケースもございます。したがって、標準規約の文言だけで十分かは検討の必要がありますが、少なくともこのケースから考えると、実態としても、専有部分のみに限ってみた使用方法があまり変わらないからと言って、「住宅としての使用」に民泊としての利用も含まれるとは言いにくいと思います。

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阪本: 管理規約や使用細則に民泊禁止規定をおくことで、そのマンションでの民泊を禁止できるという判断が、将来的に裁判などで出る可能性はあるということですね。

市原: はい。そう思います。

区分所有者の共同の利益に関する事項は規約で定めることができます。規約に定めるか、さらにその下の使用細則に定めるかという点については、法令上規約できちんと定めないと効果が無いとされるものは規約の方に定めを置かなければなりませんし、逆に規約で定めなければならないわけではないものは細則に置くことも出来ます。

民泊禁止規定は、細則で設けることも可能だと思いますが、どうしても排除したいということであれば規約レベルで明示することによってアピールするというのもひとつの方法だと思います。

いずれかにおいて民泊禁止を明示することによって、このマンションでは、民泊利用は区分所有者の共同の利益に反するのだという評価につなげることができるでしょう。

阪本: 実際に有明のあるマンションで、資産価値を保ちたい、外部からの不特定多数の出入りを排除したい、ということで民泊禁止に管理規約を変更したところがあるそうですので、規約で明示するところも出てきているようです。

少しお話が戻りますが、先ほどの保育園のような類似ケースは他にありますか?

市原: 箱根とか熱海といったような温泉地で、リゾートマンションとして使う目的の区分所有建物で定住する人が出てきた、そこで管理規約を変更して、保養目的以外での利用を排除できるかということが争いになったケースが過去にいくつかあります。

これらの中では判断が分かれている部分もあって、保養目的のみでという規約変更が有効とされたケースもありますし無効と判断されたケースもあります。

その有効とされたケースの方では、もう長らく「保養目的でのマンションなんだ」という利用状態が続いていたところ、ある日急に区分所有者自身ではなくて、その娘さんご夫妻がそこに住もうとしたという事情がある中で、規約変更は有効とされました。不利益を被るのが直接の権利関係を有する所有者そのものでは無かったというところも結論に影響しているかもしれません。

細かい事情によって振れる部分もあるかと思いますけれども 逆に言えば最初からそういうものなんだというところをカッチリ明示していく方向に舵を切っておくのであれば、争いになった場合でも、その意思決定を尊重した判断がされやすくなるのではないかと思います。

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阪本: 管理規約変更の有効性の話で言いますと、とある弁護士さんが書いた記事がインターネット上に掲載されていまして、管理規約を変更して民泊を禁止することは、区分所有法31条の規定によって「区分所有者の権利を制限する規定の追加変更を多数決によって一方的に行うことは、区分所有法上問題となり、その追加変更が無効となる可能性がある」と書かれているのですが、この記事を読まれてどういう印象ですか?

市原: 短い記事なので仕方の無い部分もあるのかもしれませんが、色々なレベルの話が混じってしまっているのかなという風に思います。

ここでまず言われているのは「規約を変更する ときには不利益を被る区分所有者の承諾が必要なんだ。だから難しいんじゃないか。」ということですよね。この部分をざっと読んだときに、読み手側が受け止める内容とはちょっとずれがあるのかなという風には思います。

例えば、あるひとつのマンションがあって、「規約を変更して今からペットは禁止にしましょう」というような規約の変更をするというケースを考えたときに、今このマンションにはペットを飼っていらっしゃる人もいれば飼ってない方もいると。

じゃあこの規約変更をするときに、必ずペットを飼っている方全員の承諾が必要なのかというと、この区分所有法31条というのは、そうではないんですね。

民泊を禁止する内容に規約変更しようというときにも、今民泊やっている方や、これからやろうとしてる方全員の承諾が要るのかと言うと、ただちにそうはならないのではないかと思います。

この民泊禁止あるいはペット禁止みたいな例で考えていただくと、そのマンションに住んでる方全員に同じ様に不利益というか規制がかかりますので、このような場合にはそもそも一部の区分所有者にだけ不利益が生じるわけではなく、個別の承諾は不要だとする見解もあります。

今マンションがあって、これから民泊禁止にしよ うというときに、今まさにやっている方、やろうとしてる方から必ず個別に承諾を取らなきゃいけなくなるかというと、そうではないと私は考えています。

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阪本: 何百万も費用をかけて民泊やっている人から個別の承諾は取れないですよね。「うちのマンションは民泊禁止にします。」と言ったところで「はいわかりました」って言う とは思えないですね。

ただ今後の流れとしては、東京だと大田区でやっている特区民泊の最低宿泊日数を6泊7日から2泊3日に規制緩和しましょうという話もありますし、大田区内の分譲マンションで特区民泊始めたいなって方が増えてくると思うんですよね。

でも閑静な住宅街もありますし、マンションによっては民泊やらせたくないって話は出てくると思うので、そうなるとやっぱり管理規約とかで阻止していきたいってニーズがあるのかなと私個人的には考えているんですね。

そこでもう一歩進んで考えてみると、多数決で同意を得て管理規約を民泊禁止にしたとします。ちなみにこの多数決は4分の3の同意ですよね?

市原: はい。区分所有者の頭数の4分の3以上かつ専有面積の4分の3以上ですね(ただし、後者については規約に特段の定めがない場合)。

阪本: これは法律で決まってるから、 「過半数でいいですよ」というわけにはいかないんですよね。

市原: そうです。

阪本: ちょっと話が逸れましたが、4分の3の同意を得て、めでたく管理規約が民泊禁止になりました。

といっても民泊やる人はいる と思うんです。そういう人に対して、何かしら管理組合の方から是正を求めることができると思うんですけども、そういうときに弁護士さんに相談した場合、例えば私が管理組合の理事長で、「203号室で民泊やってるよ」となって、市原先生に相談したとします。

そこで管理規約を見せて、「うちのマンション民泊禁止にしたんですけどどうしましょうか」っていうときに、もし弁護士さんにお願いしたときにどういった交渉の流れになりますか。

市原: ご要望によって様々ですね。

内部的な紛争ですので、いきなり弁護士つけて大事にして事を荒立てるようなことはしたくないというようなご要望が出てくることもあるかとは思います。そういう場合は書面のご用意やアドバイス等のバックアップをさせてもらうという形になりますし、そうでなければ代理人として動くということになってきます。

いずれにしろ、前提として、 民泊をやっている人が「やってない」と否認してきたときに、「やってるでしょ」って言えるような材料を集めていただくことが必要ですね。

それを踏まえて、「民泊をやっていると認識している」ということと、「規約にはこういう定めがあるので速やかにそういった行為はやめていただきたい」という趣旨の申し入れを、まずは書面でしていくというところが第1ステップになると思います。

その書面を誰の名義で出すかというところで、弁護士名で出してしまうか、書面だけご用意して管理組合の方から出していただくかとなります。

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阪本: それでおとなしくやめればいいんですけど、どうしてもやめない場合は次のステップとしては、裁判所を通じた法的な手段ということになるんでしょうか。

実際に「専ら住居として利用する」という条項がある管理規約を持つマンションで民泊をしている区分所有者に対して、大阪地裁が民泊の差し止めの仮処分を出したということがありました。

市原: そうですね。

こうしたマンション紛争で一番判断基準になってくるところは、他の区分所有者の方々の利益を害しているかどうかです。

そこを害していると言えるような事実関係があれば行為の停止や、専用部分の使用の禁止、それからあまりにも悪質な場合には区分所有権を競売にかけて売ってしまって持ち主を変えてしまうというようなけっこう強烈な規定が区分所有法には設けられてます。

主張の詳細は不明ですが、こうした請求権と絡めて仮処分までやったのが大阪のケースかなと思います。

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阪本: 強烈なんですね。やはり管理規約というのは大事なルールブックですね。

そのマンションの方向性を決めて、それに基いて色々なものが決まっていくわけですし、極端な話ですけど、民泊禁止なのに民泊やるなら競売にかけられても文句無いよねっていう話ですよね。

市原: はい。管理規約に定めたからといって直ちにそれ通りの判断がしてもらえるのかというとそうではないんですけれども、管理規約に定めが設けられているというのは重要な材料です。

阪本: となると管理規約を時代に合わせて変えていくことも大切だと思うんですが、私の知人で分譲マンションにお住まいの方が、管理組合の理事をやってるんです。

その方が、「うちのマンションはもう民泊はやめさせたいんだよね。ファミリー向けのマンションだから、変な人が入ってくるとセキュリティ上困るし、旅行者のカバンがゴロゴロ音立てたりといった騒音も困るし、ゴミの処理とかも困るから、民泊を排除したいんですよ」ということで、今後ちゃんと管理規約を直していきたいと話していました。

最後になりますが、そこで実際に管理規約を変更したいというときに、弁護士さんに相談する場合について教えてください。もしそういう相談を弁護士さんにする場合に、弁護士さんは業務としてどういうサポートをすることが可能ですか?

市原: 管理組合さんからのご相談ということですよね。

具体的な規約の文言をどういう風に変更追加していくかという部分について、例えばドラフト(起案)をすることも可能ですし、もちろん規約の変更となると手続的に踏まなきゃいけないことがでてきますので、例えば招集通知をどの様に出すのか、それとも書面決議という方法にするのか、招集通知を打つとしたらどういう内容のものをご用意するのか、またいつまでに発送するかといったようなスケジューリングの部分なんかもお手伝いさせていただくことができます。

どの程度までお手伝いするかというのはご要望に応じてということになります。

「総会の招集はいつもやっていて慣れてるからいいよ」ということであれば文言だけに絞っての対応も可能ですし、「規約の変更なんかあんまりやったことないよ」ということでしたら手厚くご用意をさせていただいくこともできます。

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阪本: 当然提供されるサービスによって先生方の報酬って変わってくると思うんですけども大体一番標準的にはどれくらいの予算を見ておけばいいですか?

市原: 具体的なお話は難しい部分もあるんですけれども、費用形態のご案内としては着手報酬の形でご案内する場合とタイムチャージでご案内する場合と大き く2通りありまして、どこまでやらせていただくかによってどちらの形態が良いかっていうのも変わってくるかと思うんですね。

文言だけコンパクトにということでしたら、タイムチャージで必要な時間だけという形でみさせていただいたほうがよろしいかもしれません。そこに絞ってでしたら多くても10万~20万程度で収まるかと思います。

もし実際に集会に同席するところまでというようなことになりますと、一定期間ずっと見させていただく形になると思いますので、そういった場合は固定額でご案内をすることも出てくるかと思います。

阪本: それぞれの事情に応じて様々な報酬体系があるのですね。弁護士さんというと敷居が高いというイメージがありますが、実際に相談してみると意外に費用がかからないということもあるかもしれませんね。

市原: そういうケースもけっこうあると思います。

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阪本: 今日は長い時間ありがとうございました。

市原: ありがとうございました。


インタビューで市原先生も仰っていたように、マンションをどういう方向性で運営していくかという観点から考えると、管理規約は非常に大事な要素のひとつです。

今回のインタビューでは民泊を禁止する方向の話が中心でしたが、逆に民泊OKという方向性でマンション運営をするという選択肢ももちろんあります。

どちらの方向を採るにしても、管理規約も含めて総合的な検討をした上で、実効性のあるルール作りをするということが大切だと感じました。

無断民泊でお困りだったり、これからマンションの新しいルール作りに取り組むという管理組合の方がいらっしゃいましたら、ぜひ弁護士法人Martial Artsに相談してみてはいかがでしょうか。(ウェブサイトはこちらです→「弁護士法人Martial Arts」)

いきなり弁護士さんに相談するのは気が引けるという方は行政書士法人シグマにご連絡いただければ紹介いたしますので、お気軽にご連絡ください。

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