大田区の外国人滞在施設経営事業特定認定手続き代行、簡易宿所申請手続き代行

特区民泊vs簡易宿所 徹底比較

平成28年2月現在の法制度上、東京都内で合法的に民泊をやろうと考えた場合には、平成28年1月に大田区で始まった特区民泊の特定認定を取得する方法と、旅館業許可を取得する方法の2つが主な選択肢です。

そこで特区民泊と旅館業許可の中から簡易宿所を例に、どちらを選択するのが良いのか、様々な面から比較してみます。

なお、簡易宿所に関しては、一部の要件が東京都内でも区によって異なるため、特区民泊が実施されている大田区の要件と比較しています。

また、特区民泊の手続きの詳細は、「大田区特区民泊条例徹底解説」をご参照ください。

滞在期間

宿泊施設を経営するという面から見た場合の最も大きな違いは滞在期間でしょう。

簡易宿所の場合には特に制限はありませんが、特区民泊の場合には最低6泊7日以上の滞在が必要です。

特区民泊における最低宿泊日数の縛りは、経営上かなり厳しいものと言えるでしょう。

この点については、平成28年10月に最低滞在日数の下限を2泊3日とする政令改正が行われましたので、今後各自治体の条例改正、制定によって上記の差異がかなり小さくなる可能性もあります。

平成29年1月現在で、2泊3日で運用されているのは、大阪府、大阪市、北九州市の3つの自治体です。

特区民泊 簡易宿所
最低宿泊日数 6泊7日→H28.10月改正によって2泊3日に 制限なし

施設の床面積

特区民泊での一居室の床面積は、寝室のほか、台所、浴室、便所及び洗面所並びに専用部分の玄関及び廊下を含めて、壁芯を基準に計算して 25㎡以上であることが必要です。

また、施設の最大滞在者数は床面積合計に対して、3㎡当たり1名を超えることはできません。

一方、簡易宿所の客室延床面積は33㎡以上であることが必要です(宿泊者の数が10名未満の場合には1人あたり3.3㎡以上)。また、床面積合計に対して1.5㎡につき1人が定員となります。

特区民泊の方が緩そうにも見えますが、これは一室の床面積なので、簡易宿所のように延べ床面積で考える方が、建物の構造によっては有利に働くことも考えられます。

特区民泊 簡易宿所
25㎡以上。
最大滞在者数は床面積合計に対して、3㎡当たり1名を超えることはできない。
客室延床面積は内のりを基準にして33㎡以上。
宿泊者の数が10名未満の場合には1人あたり3.3㎡以上。
床面積合計に対して1.5㎡につき1人が定員。

設備

適当な換気、採光、照明、防湿、排水の設備等、宿泊に最低限必要な設備にそれほど大きな違いはありませんが、影響が大きな違いとして、トイレ、洗面所、帳場があります。

トイレと洗面所

特区民泊では、水洗かつ洋式トイレであることと、手洗い設備及び温水洗浄便座の使用水は上水道接続であることが要求されますが、その数に決まりはありません。

他方、簡易宿所には、以下のようにトイレや洗面所がない部屋がある場合には、その数に決まりがあります。大田区以外の自治体でもこのような基準が定められていることが多いです。

下記の表は、大田区で簡易宿所の許可を取得するときの、トイレを設置していない部屋の合計定員が30人以下の場合に必要なトイレの数です。

合計定員 トイレの数
5人以下 2
6人以上10人以下 3
11人以上15人以下 4
16人以上20人以下 5
21人以上25人以下 6
26人以上30人以下 7

洗面所についても、洗面所がない部屋の合計定員が30人以下の場合、給水栓は5人につき1個の割合で計算した数が必要になります。

トイレ、洗面所ともに定員が31人以上の場合にも数に決まりがありますが、ここでは省略します。

このような簡易宿所の要件を考えると、通常複数のトイレや洗面所が無い一般的な住宅を宿泊施設として流用する民泊の性質からすると、特区民泊の方が費用をかけずに要件を満たしやすいと言えるでしょう。

玄関帳場

大田区の場合には、簡易宿所には宿泊者との面接に適する玄関帳場その他これに類する設備の設置が必要となります。

玄関帳場というと何かわかりにくいかもしれませんが、旅館の受付やホテルのフロントをイメージしてください。宿泊客が来たときに、受付をしたり鍵の受け渡しをしたりする場所です。

大田区の場合には、床面積3㎡以上の宿泊客の上半身を確認できる構造で、宿泊料を表示した案内書、表示板を備え付けることとなっています。

自治体によっては帳場が不要なところもありますが、原則玄関帳場が必要というのが現在の取り扱いです。

平生28年4月1日の規制緩和によって、厚労省の通知レベルではこの義務についての文言が削除されましたが、現実には各自治体の条例や運用基準が変更されるまでは状況は大きく変わりません。

特区民泊においても本人確認が必要ですが、施設内外で対面する場合だけでなく、映像での確認でもOKで、玄関帳場等の設置までは要求されていません。

映像と言っても大田区の場合では、動画でなくてはダメで、写真では認められません。

立地

立地に関しては、原則同じで、都市計画法上の用途地域が、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第1種住居地域の場合は床面積3,000 ㎡以下であれば、特区民泊・簡易宿所ともに営業可能です。

近隣との関係

特区民泊の特定認定を受けるときには、あらかじめ、特定認定に係る事業計画の内容について近隣住民に周知する必要があります。その際には、適切に周知、説明し、近隣住民の理解を得るように努めなければなりません。

この周知にあたって周辺から反対意見があったからといって特定認定が受けられないというわけではありませんが、理解を得られるように努めることが必要です。

一方、簡易宿所では、おおむね100メートル以内に学校等がある場合には、簡易宿所の設置によって清純な施設環境が著しく害されるおそれがないかどうかについて、保健所から学校等を所管・監督する関係機関に対する意見照会をします。

これは学校等があったらダメというわけではなく、あくまでも意見照会をして、清純な施設環境が著しく害されるおそれがあるとされると許可されない可能性があるということです。

また、簡易宿所であっても事前周知を要件にしている自治体もあります。

建物

ここは許可を取るうえでけっこう大きなハードルになる点です。

簡易宿所に使う建物は、建築基準法や都道府県の建築安全条例、消防法など、建築関連の法律に適合している必要があります。

簡易宿所の許可を取るには、既存の建物を利用して簡易宿所の許可を取得するにあたり、簡易宿所に使用する床面積の合計が100㎡を超える場合で用途が住宅などの場合には、簡易宿泊所への用途変更の確認申請が必要になります。

この用途変更が必要になる場合には、かなり大きな出費を伴うケースも多く、ここで許可の取得を断念するケースも多いです。

一方、特区民泊の場合には、建築基準法関係については「住宅」であれば問題なく、消防法について一定の基準を満たす必要があるのみです。

この点は特区民泊の方がハードルが低く、手続きも簡単と言えるでしょう。

なお、簡易宿所では、床面積が100㎡以下のときには建築基準法の要件を守らなくてもよいと考えている人がいますが、用途変更が不要というだけで、建築関連の法律には適合していなければいけませんし、申請した段階で保健所から建築課に照会をかけるため、黙ってればバレないというものでもないので注意が必要です。

必要書類

特区民泊

  • 特定認定申請書
  • 法人の場合は定款又は寄附行為及び登記事項証明書、個人の場合は住民票の写し(いずれも6ヶ月以内のもの)
  • 賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款(外国語表記とその日本語訳)
  • 施設の構造設備を明らかにする図面
  • 滞在者名簿の様式
  • 施設を事業に使用するための権利を有することの証明書類
  • 近隣住民へ周知した書面及びどのように周知したかを記載した書面
  • 消防法令に定める手続きを行ったことが確認できる書類

簡易宿所

  • 旅館業営業許可申請書
  • 構造設備の概要
  • 申告書
  • 営業施設を中心とする半径300メートル以内の見取図
  • 建物の配置図、正面図及び側面図
  • 営業施設の各階平面図
  • 電気設備図
  • 客室にガス設備を設ける場合にあっては、その配管図
  • 換気設備図又は空気調和設備図
  • 給排水設備図
  • 法人の場合は、定款または寄付行為の写し及び登記事項証明書(6か月以内のもの)

パッと見ると簡易宿所の方が大変そうに見えるかもしれませんが、図面に関しては建築士、内装業者などから入手できるものも多いため、それほど大きな差はありません。

手続き全体として考えると、近隣住民への周知をしなければならない分、やや特区民泊の方が大変かもしれません。

費用

大田区を例にとると、申請に必要な手数料は以下の通りです。

特区民泊 簡易宿所
20,500円 16,500円

手数料だけ見ると簡易宿所の方が安いです。

ただし、上述したとおり簡易宿所は特区民泊に比べて設備面でのハードルが高く、いざ許可を取得するとなると、施設の改修やリノベーション等に多額の出費が必要となる可能性があります。

まとめ

東京都での特区民泊と簡易宿所を比べてきましたが、ビジネスとして考えた場合には、やはり特区民泊では6泊7日の最低宿泊日数の縛りが非常に厳しいため、そのような縛りのない簡易宿所の許可が取得できるのであれば、簡易宿所の許可を取得するべきと言えるでしょう。

ただ、簡易宿所は特区民泊に比べて許可取得のハードルが高いのは事実です。通常の住宅で全ての要件を満たすのはなかなか難しいです。

平成28年4月1日に簡易宿所の要件が一部緩和されましたが、各自治体はあまりこれに対応しておらず、現実的には床面積の要件が少し緩和されただけで、簡易宿所の許可が大幅に取りやすくなったとは言えません。

なお、平成29年1月時点では大田区の最低滞在日数が緩和されるという動きは無いようです。

平成28年4月下旬時点での東京都の各自治体の対応については、「簡易宿所の規制緩和と東京23区の対応」で紹介していますので、興味のある方はこちらも読んでみてください。

行政書士法人シグマでは、特区民泊と簡易宿所のどちらの手続きをするのが適切かといったような相談も受け付けておりますので、どちらにするかお悩みの方は一度ご相談ください。

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