大田区の外国人滞在施設経営事業特定認定手続き代行、簡易宿所申請手続き代行

「民泊」と保険の話(インタビュー)

民泊事業をしていくにあたって考えなければいけないことのひとつに保険があります。

住宅を不特定多数の人が滞在、宿泊する施設に転用するという意味では、通常と住宅とは全く異なるリスクが存在します。

そんな民泊に関する保険について、FP(ファイナンシャルプランナー)で行政書士の藤田淑美さんに、行政書士法人シグマ代表の阪本がお話を伺いました。

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阪本浩毅(以下「阪本」): 本日はよろしくお願いします。

藤田淑美(以下「藤田」): よろしくお願いします。

阪本: 民泊事業を行う際には、通常の住宅利用とは異なるリスクがあると思うのですが、そのリスクについてどのように検討するべきだとお考えですか?

藤田: 民泊特有のリスクもあると思いますが、まずは民泊事業も他の事業と同じように、備えるべきリスクを大きく4つのカテゴリに分けて考えると分かり易いかと思います。

その4つのリスクとは、財産に関するリスク、休業に関するリスク、利用者や第三者に対する損害賠償のリスク、労災事故に関するリスクです。

阪本: なるほど。その4つのリスクについてもう少し詳しく教えていただけますか?

藤田: 財産に関するリスクとは、事業者様の所有財産に生じるリスクです。所有財産というのは、民泊事業に使用する建物・お部屋。それから、その中に収容する設備・家具・道具類。屋外に設置する看板なども対象になります。事務所を設置するのであれば、その物件や設備什器なども対象になります。

宿泊施設や事務所に借用物件を使用するような場合は、財産リスクではなく、物件オーナー様に対する賠償リスクという考え方になります。マンションやアパートを賃貸する際に加入する保険をイメージしていただくと分かり易いかと思います。

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リスクの内容としては、いわゆる「火災保険」が担保するリスクです。火災・落雷等のリスク、風災・水災等の自然災害による損害リスク、給排水設備事故の水濡れ等のリスク、盗難リスク等が含まれます。民泊特有のリスクとして、家具・道具類の盗難の懸念があるようですね。家具・道具類を保険の対象に含め、盗難による損害をカバーするという対策が考えられますね。

保険料算出のポイントとなる建物・お部屋の用途については、一見通常の住宅と変わらないとしても、事業として利用するため「一般物件」または「併用物件」を用途としなければならず、「住宅物件」よりも保険料は高くなります。

阪本: やはり一般の住宅よりも財産上のリスクは大きいので保険料が高くなるということですね。では次に休業に関するリスクについて教えてください。

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藤田: 先ほどお話したような火災保険が発動するような事故、例えば火災や落雷、自然災害、給排水設備の事故が発生した際には、修理期間中、営業を休止せざるを得ないかもしれません。電気・水道等のユーティリティーが止まってしまった場合もお客様を泊めることができず、売上がダウンしてしまいます。

民泊特有のリスクとしては、宿泊の予約や精算に使うネットワークシステムがウイルスの侵入などで機能しなくなり、休業に追い込まれるという危険も考えられますね。

阪本: たしかに事業が行えないということは非常に大きなリスクなので、そこを保険でカバーできれば意義は大きいように感じます。次に利用者や第三者に対する損害賠償のリスクについて教えてください。

藤田: 宿泊施設を運営する上で、賠償リスクは最も懸念される点かと思います。例えば、民泊の利用者が施設内でお怪我をされた場合等に、施設の管理不備が原因であれば法律上の損害賠償責任が発生するリスクがございます。
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宿泊するお部屋内の事故だけでなく、看板が落下して通行人にケガをさせた場合や、サービスで提供するコーヒーをこぼし来客の洋服を汚してしまった場合。また、宿泊事業特有のリスクとしては、受付でお客様のものを預かった際の、預かり品の紛失や汚損の懸念もあります。さらに、民泊の予約はネットワークを介してされる場合が多いと思われますので、個人情報漏えいのリスクも検討すべきです。

阪本: 多額の損害賠償を自腹で払うということになれば、事業が継続できないばかりか、多額の負債を抱え、最悪の場合には自己破産の可能性もありますので、まさに保険が必要な場面ですね。では、4つ目の労災事故に関するリスクについて教えてください。

藤田: これは従業員の方の業務中・通勤中のお怪我のリスクです。

最近は宿泊事業に関わらず、あらゆる事業において「使用者賠償」が注目されています。雇い主の安全管理不備や無理な出勤命令などにより従業員の方が心身に障害を被った場合、ご本人や遺族の方から損害賠償請求される事案が増えていることから、そういった場合の補償をご検討される事業者様が増えてきています。

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阪本: では民泊事業を行う際に保険に加入しようと思ったときには、どのようなポイントに気をつければいいでしょうか。

藤田: 事業を行う上で想定されるリスクについて十分検討した上で、安心して事業活動に専念できるよう、必要十分な手当てすることをお勧めいたします。

ただ、民泊は法整備が完全に確立していないため、そのリスクに対応する保険のもまだ現段階では確立していない状況と言えます。

合法民泊の選択肢の一つである旅館業の簡易宿所には、従来の旅館業向けの賠償保険等の適用が考えられますが、国家戦略特別区域のいわゆる特区民泊は新しい業態であるため、従来の保険での引受けができるかどうかは個別具体的な状況による判断となる可能性があります。どちらにしても、必要な許認可を取得し法令に遵守した営業であることは前提条件となるでしょう。その上で、事例ごとに保険会社に相談し、必要な補償がされるかどうかを確認する作業が必要となりそうです。

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また、保険も万全ではありませんので、例えば、保険金が支払われない場合、いわゆる免責事項もありますし、事故の発生率があまりにも高く、ご請求が頻発するような場合は引受けが難しくなるケースもあります。当たり前のことかもしれませんが、まずは安全に十分に配慮し、事故の発生を防ぐ対策を行っていただくのが前提となります。

事業保険については、各保険会社から様々な事業に関する保険が販売されています。商品の内容や保険料ももちろん決め手となりますが、加入することでメリットやサービスを受けられるものもあります。例えば、情報提供サービスや、リスクコンサルティングサービス、災害時の復旧支援サービス等も震災の際には大変役に立ったという声も伺います。

また今般、訪日外国人旅行客をターゲットとしたビジネスには国を挙げて力をいれていることから、保険会社でもそういった事業へのサポートに着眼し具体的なサービスを掲げ始めています。民泊事業もそうですが、特にインバウンドビジネスに初めて取り組まれる方は、サポートサービスに着目して保険商品を検討するのも一つかもしれません。

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阪本: なるほど。実際に民泊に関する保険の相談に乗ってくれる方はまだ多くないという印象ですが、藤田さんはそのような相談への対応は行っていますか?

藤田: 民泊については保険も過渡期であり、今後の動きをウォッチしていく必要がありますが、お声をかけて頂きましたら、情報提供させていただきながらその事業者様にとって最適な補償について一緒にご検討させて頂きますのでお気軽にご相談お申し付けください。

阪本: 今日は色々な話をお聞かせいただきありがとうございました。当法人は、保健所などへの手続きの部分は専門性がありますが、保険は専門外なことに加えて、民泊自体がまだ新しいビジネスということもあり、あまり情報が多くないので非常に勉強になりました。

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